同じ言葉でも…例えば【大好き!】と言うフレーズがあったとします。
嬉しい気持ち、明るい気持ちで言っているのか?
悲しい気持ち、寂しい気持ちで言っているのか?
…そう言うのってありますよね?
この感情を表現する音を今回は紹介します。
【大人のベースギター】シリーズもいよいよ⑧回めです。
今回の内容はちょっと難しく、専門用語もいくつか出てきます。
もし、???となった時は、以前の記事を読み返して復習してみて下さい。(特に⑥回めを。)
今までの内容は上の【大人のベースギター】のタグか下記URLからご覧になれます。
大人なあなたの人生には、今までいろいろな事があったと思います。
楽しかった事だけじゃなく、失恋や挫折。
乗り越えた後から思い出してみたら、人生のスパイスだね。
と言える事でも、当時は必死だったなあ、…。
と思い出す事もあるでしょう。
元気いっぱいにテクニカルなプレイをするのも良いのですが、
そんなちょっとほろ苦い思い出に浸りながら、しっとりと物悲しいフレーズを奏でてあなたの心に寄り添う。そんなベースプレイも大人には良いものです。
この表を見て下さい。
以前の回でも説明しましたが、この表のCDEFGABCがドレミファソラシド。
つまりCメジャースケールになります。
スケールとは音階の事です。
このスケールの内の複数の音(2音〜4音)を使って奏者はコードを表現します。
メジャースケールは明るく楽しい響きの調べです。
【ドレミの歌】を思い浮かべて下さい。
陽気で楽しそうでしょう?
ベースを抱えて音を鳴らしてみればより実感出来ますよ♪
ではこの内の、【E】【A】【B】の音を半音下げて(♭して)弾いてみて下さい。
なんだか物悲しい響きになったでしょう?
このせつなく物悲しい響きの調べがマイナースケールです。
これらの音の並びは、どのコード(ルート音)でも同じ位置関係で、メジャースケール・マイナースケールになりますので、指で位置を丸暗記して下さい。
覚えるの大変!こんなの初心者に無理だよ!と言う正直者なあなた!
特に覚えるべき2つの音をお教えします。
解りやすいのでルート音がCの場合で説明します。
EとBの音の位置関係を覚えて下さい。Cから見て3番めと7番めの音です。(3rdと7thと言います)
この2つの音を半分下げるかどうか、これだけでほとんどのメジャーorマイナーコードに合わせる事が出来るでしょう。
特にコードの明るさに強く影響を与えるのが【3rd】の音です。
この音を半音ずらすだけで、響きの印象はかなり変わります。
逆に【7th】はそれよりもちょっと控えめな、内に秘めた感情を表現し易いです。
最初に触れたEABの音の【6th】Aの音を半音下げると、またちょっと変わった、哀愁を感じさせる響きの音になります。
【3rd】をメジャーのままにして、【7th】と【6th】を♭させると、スパニッシュスケールと言って、ちょっとエキゾチックな響きになります。
ルート音と以前に説明しました【5th】(5度)の音を基本にして、3rd、7th、6thの音を混ぜるさじ加減で、ミュージシャンは哀愁や郷愁、陽気な楽しさや、悲しみやほろ苦さ等様々な感情を表現できるのです。
他の楽器との組み合わせる場合も同じです。
そのバンドの言葉と音選びのセンスによって、聴く人の心に訴える名曲が生まれます。
テクニックは関係ありません!
すごくシンプルなのに、人の心に訴える曲ってあるでしょう?
縦軸の【和音】だけじゃ無くて、横軸の【音の運び】でも、様々な感情を表現する事ができます。
ベースの音だけで表現する場合はそっちの方がやりやすいかもしれませんね。
例えば【スタンドバイミー】と言う曲があります。
めっちゃ有名ですし、だれもが認める間違いない名曲ですよね?
でも、コード進行はとてもシンプルです。
【G】〜【Em 】〜【C 】【D】
この繰り返しです。
この曲で注目して欲しいのは【Em】の音です。
上の表を見ると、曲の最初の出だしの【G】の音は【E】の音から見てマイナー3rdに当たるんですね。
このコード進行が、明るいメジャーコードが基本になっている曲にちょっとしたほろ苦さを足しているんです。
名曲を生むミュージシャンはこう言うセンスがめちゃくちゃ卓越しています。
テクニックを使った表現も大切ですが、こう言う響きを意識すると、【心に響く音色】を奏でる【演奏者】になれます。
…初心者の皆さんには、今回の話は今までより少し難しかったかも知れません。
たとえ最初は解らなくても、何度も振り返って読んで、何度もプレイして、だんだん解っていくものですので、今は焦らず、ゆっくり読んで心の中で咀嚼していって下さい。
後々、これらをマスターしたら、あなたはもう立派な【表現者】の一員です♪
心のままに音を奏でましょう♪
これこそが音楽の楽しみなのです。