大人のベースギターシリーズも7回目になりました。
ここに来てようやくですが、ピック弾きを紹介しようと思います。
何故ここまでピック弾きをやらなかったかと言いますと、残念ながら【偏見】があるからです。
ピック弾きはあくまで奏法の一つであり、そこに優劣はありません。
表現方法、技法の一つですので、考えるまでも無く当たり前の事です。
油彩画と水彩画どちらが偉い?と言っている様なものです。
ですが、このシリーズの第一回
https://www.toriotto.com/entry/2020/03/16/235318
でも言いました様に趣味の世界では、馬鹿みたいな話ですが半端な知識をひけらかして初心者にマウントを取ろうとする輩が時々います。
彼等は偉そうに出来る相手を見つけては近寄って行くのですが、マウントを取れるのは初心者だけなので親切を装って初心者を洗脳しようとします。
家で弾いてるだけだから大丈夫だよ。
と言うあなた。
ネット上にもそう言う輩が存在します。
掲示板は言うまでも無く、このブログの様な初心者向けの記事や動画で【ピック弾きは表現の幅が狭い。】などと言って洗脳しようとする輩もいます。
そう言う輩は、あなたを馬鹿にして偉そうにしたいだけですので議論をしても無駄です。
無視するのが一番です。
が、いちいち面倒で鬱陶しいのも事実です。
こんなくだらない事で、せっかくの大人の趣味がつまらないと感じてしまうのはとても悲しい事です。
そんな訳で、いちいち相手にしなくても良い様に、一番最初は【指弾き】を覚えて貰いました。
ベーシストたるもの指弾きもピック弾きも両方できてこそだと思います。
TORIOTTOがプレイする時の指:ピック:スラップの比率は6:3:1位です。
それぞれの奏法にはそれぞれの良さや奥深さがあります。
しかし、ここを読んでいる方が気になる事もわかります。
【実際のとこ、どうなの?】です。
マウント好きのお猿さんの言う事はだいたいこうです。
【ピック弾きは指弾きが出来ない下手くそがやる弾き方だ。】
…彼等はポールマッカートニーやクリススクワイヤの前でも同じ事を言うのでしょうか?
彼等は決まってスラップ奏法は褒め称えます。
確かにスラップで弾くと目立ちますし、トリッキーで上手に聴こえます。
が、難易度で言えばどちらも似たような物です。
亀田誠治さんも東京事変でピック弾きの名演奏をされていますよね。
そして、もう一つ言われるのが、【ピック弾きは表現の幅が狭い。】です。
ビートルズも、ローリングストーンズも、イエスも、ポリスも、メタリカも、ピンク・フロイドも、これら全世界規模でメガヒットしたアーティストのその全盛期の名盤ではピック弾きのベースが収録されています。
表現の幅、狭いですか?
貧相な表現力で世界中の人々の心を掴む事なんてできません。
まーさーかミュージシャンを自称する人が、ベースサウンドが曲に与える影響力を無視して、プレイの派手さだけで表現力(笑)とか言わないですよね?
では、何故そんな偏見が生まれたのか、TORIOTTOなりに考察してみました。
エレキベースは1950年代から作られた比較的新しい楽器です。
それまではウッドベースが使われていました。
ウッドベースは指弾きで演奏します。(クラシックでは弓も使いますが。)
エレキベースが出てきた時、当然慣れている指弾きをする人が多くいました。
しかし、慣れていない人。例えば今までウッドベースを弾けなかったギタリストがエレキベースをピックで弾き始めました。
他にもピックで弾いた音を新鮮に感じ、取り入れるベーシストも現れます。
ここに古参と新参の構図が生まれた訳です。
世の常として古参よりも新参の方が低くみられがちです。
海外はそれでもマシな方なのですが…。
もう一つ、中高生でバンドをやろう!ってなった時、ギタリストは人数が多くて人気があります。
ちびっ子の頃からやっていた上手なギタリストは当然ポジションを得られますが、始めて間もない初心者は中々バンドに入れません。
ベーシストはギタリストより数が少ないので【お前ベースやれよ。】とか言われてベーシストとしてバンドに加入します。そして…
【ベースなんてたいしてギター弾けない奴がやる楽器だよな。】
なんて言われちゃうんです。
言われた方は悔しいですよね?
もちろん元々ベーシストとしてキャリアを始めた人はめちゃくちゃ上手いので問題ありません。
そんなアホな意見も腕で黙らせる事が出来ます。
そんな数少ない上手なベーシストに憧れて、初心者達は付いていくのですが、そこでギターではあまり見られない奏法を発見するのです。
【指弾き】と【スラップ】です。
これが出来れば!と練習していきます。
そして、いつしか指弾きやスラップはベーシストの【プライド】となり、ピック弾きは【コンプレックスの象徴】になってしまうんですね。
上記のめちゃくちゃ上手いベーシストには関係ない話なのですが、残念ながら日本では希少種です。
また子供の頃からプレイしてきた楽器弾きは親や祖父母の影響で始めた人が多く、当然考え方も影響をうけます。
彼等もまた、ある意味洗脳されたプレイヤーになっているのです。
古参よりの価値観が植え付けられるんですね。
反発して新しい事を模索したとしても、あくまで反発心からなので、根底にある偏見はなかなか拭えません。
この様にして、ピック弾きを馬鹿にするベーシストが量産されました。
ですが、真実は全く違います。
それは名盤、名演等の【結果】で証明されています。
奏法によって音などの違いはありますが、それは特徴であって優劣ではありません。
皆さんは安心して下さい。
両方出来るベーシストになってから、自分の好きな方を選んでも遅くは無いでしょう。
どちらかしか出来ないのなら、マウントを取ってもそれに反論しても虚しいだけですから。
さて前置きがめちゃくちゃ長くなってしまい、2000文字を超えちゃいましたが(笑)具体的な説明をしていきましょう。
まずピックの選び方です。
ベースで使うピックの種類は主に【ティアドロップ型】(上)と、【おにぎり型】(下)の2種類です。
ティアドロップ型は繊細なプレイに向いていて、おにぎり型はパワフルなプレイに向いているとか特徴はありますが、鍛錬でどうにでもなるレベルですので、単純に持ってみてしっくりくる方を選んでもらって構いません。
弦と擦れる面積が変わりますので若干音の違いはありますが、すり減っていけばまた変わりますし、使い込んだピックが好きだと言うベーシストも居ますので、最終的には好みで選んで間違いありません。
あと、おにぎり型は角が3つ使えるのでお得♪と言うメリットもあります。
一枚100円くらいですので、始めの内はいろいろ買って試してみるのも良いでしょう。
購入時の注意点は厚さです。
1ミリ(又はHEAVY)以上の厚さのピックを選べばベースの太い弦にも負けないでしょう。
ちなみにTORIOTTOは普段2.0ミリのピックを使っています。
固っ!と言われますが、これも好みと言えるでしょう。
ピックの素材は樹脂製や鼈甲、金属などいろいろありますが、最初は樹脂製を選んで間違い無いでしょう。
樹脂製が一番安いですしね。
消耗品で失くしやすいので、複数枚持っていた方が良いでしょうし、揃え易い事も大切です。
素材と言うよりも、その表面の仕上げにはこだわった方が良いでしょう。
ツルツルしたもの。マットなもの。滑り止めの付いたもの。等いろいろあります。
手汗の具合やプレイスタイルによって拘りの出る部分です。
TORIOTTOはマット仕上げのティアドロップ型をよく使います。
ピックを買ってみると、ちょっとミュージシャンっぽくて嬉しくなりますね♪
TORIOTTOも学生時代意味もなくピックを持ち歩いたり、財布に入れたりして俺かっけーとか思っていました(笑)
次はピックの握り方です。
この様に軽く曲げた人差し指の上にピックを乗せて、
そのまま親指を乗せる感じです。
こうなります。
基本的にはこれが一番安定するでしょう。
他にも演奏中に、
こんな感じで指先に持ち替えたり、
中指も使って3点で支えたりもします。
ピックの踏ん張りや指や手首の柔軟さも変わりますので、皆さんもいろいろ試してみて下さい。
握る以外の指や手刀の部分は弦や、ブリッジの弦の支点の部分に軽く触れたりして、余分な雑音をミュートたり、弾く音も軽くミュートして【ミュート弾き】と言う奏法をしたりもします。
次はピッキングについて説明します。
【ダウンピッキング】
上から下に弦を弾くピッキングです。
【アップピッキング】
下から上に弦を弾くピッキングです。
引っ掛かりを感じて、少し音も変わります。
【オルタネイトピッキング】
ダウンピッキングとアップピッキングを交互に繰り返して弾くピッキングです。
高速ピッキングにも向いています。
あえての高速ダウンピッキングで緊張感を出すプレイスタイルも好いですね。
ダウンとアップで若干音が違っていて、オルタネイトだと特に揃いにくいですが、練習すれば均一になっていきますので諦めずに繰り返し練習して下さい。
マスターすれば、あえて均一にせずにそれぞれの音の違いで表情をつける事もできます。
【弦に当てる角度】
普通にピッキングすると、こんな感じにちょっと斜めに当たると思います。音もシャリ感が強い感じです。
弦に並行に当てる弾き方。これが理想的と言われています。が、
逆方向にナナメにする事でコシのある音を出す人もいます。
どれが正解と言うよりも、角度によって表情をつけれると思ってもらえればOKでしょう。
TORIOTTOも全ての当て方を使います。
またこんな感じにピックを深く当てたりしても音の表情は変わります。
まっすぐ腕を振り下ろしたり、ドアノブを捻るみたいにスナップを効かせたりしても音色は変わります。
全てのコツはなるべく手を柔かく、柔軟にする事です。
後はピックを当てる場所をネックよりにしたり、ブリッジよりにしたりしても音色は変わります。
これは指弾きも同じですね。
これだけでもかなりの表情がつけられそうでしょう?
表現の幅なんて無限です。
指弾きとピック弾きはそれぞれ得意なフレーズやテンポが違ったり、そもそも音色が違ったりもするのですが、鍛錬でどうとでもなります。
その鍛錬の過程は、合理的なメソッドでの練習では得られない強力な武器をあなたに与えてくれる事でしょう。
それぞれ色々な弾き方を試して、それらを使いこなして個性にしていけたら、あなたもベースマスターの高みに更に近づけます。
表現力は想像力と同じです。
そもそも正解なんてありませんし、
あなたの【心=ハート!】次第で無限に広がる事でしょう。