以前にやりましたオススメ小説10選!
https://www.toriotto.com/entry/2020/04/18/183542
が好評でしたので、調子こいて今度は漫画の10選!をやろうと思います。
…正直、小説の次の日くらいにやろうと思っていたのですが、ちょっと迷っていました。
漫画って小説よりも間口が広いじゃないですか。
小説は基本的に読書好きな人しか手に取りませんが、漫画は特別漫画好きじゃなくても、とりあえず置いてあるから読む。くらいの気軽さで手に取る人も多いと思います。
その割に趣味色の強いものも多く、熱狂的なファンやアンチもいたりします。
10選!って選んだところで、それ違うよ〜と言う人の方が多くなってしまうジャンルなんですよね。
だからと言ってぐうの音も出ない名作!ばかりを選んじゃうと、小説の古典ばかりを選ぶのと同じで、ブログとしてつまらなくなると思います。
もちろん誰が何と言おうが、名作は名作なのですが、新しい発見もブログの楽しみの一つだと思うのです。
だからと言ってマニアックなものばかりを追究しても、ベクトルとしてどうよ?と、うだうだ考えてしまいます。
しかしここで、ただのオタクマウントじゃあ無く、今の自分の年齢や現実の姿に合う合わないも関係なく、ただ心のままに選ぶ勇気を、以前の小説10選!の好評が与えてくれました。
この場を借りて皆さんにお礼申し上げます。
ありがとうございます!
漫画!マンガですよ。暇潰しの王道!
TORIOTTO の独断と偏見で10選!いきますよ。
まず一つめ!
【聖☆高校生】小池田マヤ
青年誌で【エロス】をテーマにした、アーティスティックなストーリー四コマ漫画を、女性作家が描くと言う無茶苦茶な企画を見事に成功させた名作です。
基本的には聖君と言う少年の成長物語です。
後半はちょっと重たい話ですね。
TORIOTTO はホスト編がお気に入りです。
絵も見やすくて良いですね。
キャラクターも立っていて、ドロドロしたストーリーに華を添えています。
表紙の版画も含めて、人の身体の描きっぷりにフェチズムと気合いを感じます。
エロスが生理的に苦手な人以外には、是非ともオススメする漫画です。
二つめ!
人の血を口にしたくなる奇病を持った姉弟のお話です。
冬目景作品はどれも雰囲気は良いのですが、作者が投げちゃうのか?毎度ちゃんと続かない&終わらない。と言うジレンマがあったのですが、この作品は綺麗に完結します。
同じ作者の【イエスタディをうたって】も完結しているのですが、漫画的な面白さで本作品を選びました。
吸血鬼が出てこない吸血鬼もの。かつ吸血鬼物らしいアンモラルな雰囲気も醸し出しています。
姉弟の心情の描写の美しさ、ラストの描写に感嘆しました。この作者の雰囲気が好きな方にはめちゃくちゃハマると思います。
三つめ!
カッコイイ戦闘機の空中戦!
エースパイロット達の灼熱の戦闘!
カッコイイ台詞を吐くカッコイイ男達!
一人の女性を巡ってドロドロの奪い合い!
男の子が大好きな要素が全て詰め込まれた作品ですが、
絵が【ベルばら】です(笑)
でも描いているテーマは【男の尊厳】です。
いや、もちろん違う作者ですが、マジでベルばらの作者が戦闘機ものを描いたらこんな感じなんじゃないかな?と思ってしまうくらい、古典的少女漫画な作画です。
瞳キラキラで主人公の戦闘機にユニコーンが描いてあります。
この作画に好き嫌いは別れると思いますが、読んでいくと、この絵が必要不可欠だと言う事が理解できるでしょう。
この絵こそが、良くできた戦争漫画を少年漫画史に残る名作に引き上げているのです。
紹介するまでも無いくらいに名作ですが、大好きと言いたくて推しました。
【まわせー!】と叫びたくなります。
四つめ!
キャッキャフレーズの【少年は不思議だ】としか言いようのない、おそらく人間では無い美少年の目線で、時代も国も様々な人間模様を観察する物語です。
観察と言っても少年特有の悪戯心からか、時に大人の姿で、時に女性の姿で、人間にちょっかい掛けては嘲笑っています。
しかし、人間も不思議なもので、時々少年が驚く様な事をしたり、少年が涙する事もあります。
火の鳥役を美少年がやった様な漫画です。
どの話もよく練られていてとても面白いです。
ショートストーリーで空いた時間にサクッと読めるので何度も読み返してしまいます。
大人向けのお話で、綺麗な絵の漫画が読みたい方にオススメです。
五つめ!
【政界】と【極道】を描いた【劇画】です。
時代はバブル末期位でしょうか。
物凄くイケメンの極道と政治家の二人が主人公のドラマです。
あの、ある意味ヤクザがヤクザらしく、政治家が政治家らしかった時代を見事に面白く描いています。
かつ、漫画っぽい、良い意味で御都合主義の熱くなる展開や魅力溢れるキャラクター達のお陰で漫画としても非常に完成度が高いです。
絵はハードボイルドな劇画なのですが、漢達がカッコいいので、女性が読んでも面白いと思います。
こう言うアンダーグラウンドなものだけで無く、職業や文化など、いろいろなテーマで多くの実力派の漫画家達が、リアルに感じるまで綿密な取材をして、完成度の高い作品を世に出されています。
しかし、それだけの作品が多いのも事実です。
例えば闇金を描いてようが、医学や経済のお勉強になろうが、サラダのようなさっぱりした作品になってしまうのです。
それよりも、美少年がめっちゃ好きな女性作家や、美少女がめっちゃ好きな男性作家、美しい脚がめっちゃ好きな映画監督等、変質&偏執的な嗜好やフェチズムを持った作者の作品の方が、つまり人間が好きだー!!!って言う作者の方が、キャラクターに何とも言えない魅力を持たせる事が出来ると思います。
この作品に登場する【渡海さん】が素敵過ぎます。
物凄い躍動感です。もう、主人公と言っても良いでしょう。
彼の魅力に触れるだけでもこの作品を読む価値はあると思います。
六つめ!
音楽漫画だと【のだめ】が好きと言う人も多いでしょうが、こちらも名作です。
主人公がチート過ぎてありがちな感じもしますが、設定のおかげでそこまで嫌味を感じません。
彼が芸術に向き合う姿勢にも好感が持てます。
内容は、音楽バトル漫画と言っても良いかもしれません。
ストーリーもめっちゃ凝っている訳でもありません。
めっちゃ解りやすいです。
絵もサラッとした筆致で見やすいですが、特別画力が高い訳でもありません。
ですが、めちゃくちゃ面白いです。
単純に、作者は漫画を描くのがめちゃくちゃ上手いんですね。
作者のこの少年に対する偏執的な愛こそが、この作品の魅力になっているのだと思います。
読む誰もが、カイ少年と彼の奏でるピアノの虜になってしまうでしょう。
七つめ!
【スカイハイ】高橋ツトム
恨みの門の門番の少女イズコが、不慮の死で魂となった人間に三つの選択肢を出す!…と言うストーリーです。
ある者は死を受け入れ浄化され、ある者は幽霊となって現世を彷徨い、ある者は一人を呪い殺して地獄に行く。
選択肢を与えられた人間の行動は様々ですが、これらを物凄く高い温度で描く作者の技量には度肝を抜かれます。
まさに命の炎です。
他にも作品を描かれていますが、この作者の沸騰するくらいの熱さの魅力が一番現れているのはこの【スカイハイ】だと思います。
八つめ!
【彼女のいる彼氏】矢島光
大手IT企業で働くエンジニアの主人公の咲が、キラキラ女子に囲まれて、二人の(駄目)男からアプローチを受けて、きゅんきゅんする様な社内恋愛をしていくと言う、アラサー向け少女マンガの王道とも言えるお話です。
ですが、いい感じに皆さんクズです。
作中でも言われていますが、主人公が駄目な人です(笑)
ただ、男性が描くクズ女とも違うんです。
タラレバと迷いましたが、こっちの方がリアルなクズかなと思い選びました。
レビューではボロカスに批判されていますが、見易くてストーリーにも合っている良い絵だと思います。
作者には是非ともこのまま突き進んで欲しいです。
主人公に言い寄ってくるメンズもあかんやつです。
カゼハヤ君みたいなのは一ミリも出てきません。
なので、男性が読んでも面白いと思います。
誰も悪い人では無いんだけど、皆駄目な事をやらかします。
イイですよね〜これぞアラサー向け少女マンガの醍醐味ですよ。
主人公の駄目さは、小松奈々以来の逸材だと思います。
まあ、彼女はアクセラレーター並に飛び抜けてますが…。
九つめ!
【TOKYOブローカー】楠みちはる
2000年代初期の東京を舞台にした、ブローカーと言うグレーな商売をする大人達の物語です。
一巻しか出てないです(笑)
でもその方がサクッと読めますし、一巻で充分だと思います。
綺麗にまとまってますしね。
この漫画、何が魅力かと言いますと
【オヤジポエム】です。
名言のオンパレード!
TORIOTTO の人生にも響いた言葉が幾つもあります。
人生で一度は読まないと損な漫画です。
もはや詩集と言っても過言では無いでしょう。
以前のブログのタイトルにしました、
https://www.toriotto.com/entry/2020/03/09/111652
【何でもかんでもすぐにオコるな。オコるほど何かが逃げていく。】
もTORIOTTO の脳髄にぬいつけられた、この作品の中の台詞です。
漫画としての完成度の高い、同作者の【湾岸ミッドナイト】と迷いましたが、言葉の強さからこちらを推しました。
仕事を休んでいる今こそ読んで欲しい一冊です。
ラスト!
漫画の表現力の可能性。それを感じさせてくれる作品です。
最初の百鬼夜行の描写でもうやられました。
解りにくい、概念的なテーマ、物語を本当に見事に表現しています。
凄い!と言うよりも見事。
オペラやミュージカルを観ている様な気分にさせてくれる作品です。
原作はこれまた鬼才の夢枕獏先生で、むちゃくちゃ面白いし映画にもなって有名なのですが、何よりもこの漫画版をオススメします。
また、作者の強い好みが反映されている点も、他の作品同様TORIOTTO のツボに入っています。
よい漢だよ。
晴明と博雅が酒を飲みながら語り合っている日常が良いですね。
やっぱり、作者の偏執的な愛がある作品は、キャラクターの魅力が段違いなんです。
売れるから美少年を出す。
売れるから美少女を出す。
上手い絵を描いてどやあー!も多いに結構。
大切ですが、それだけじゃあ駄目です。
作品の中に世界をつくるのはズバリ【愛】です。
芸術全般に言えるかもしれません。
絵画の世界でも、例えば女性の肌に全身全霊をかけた作品もあります。
偏執的な愛情が絵という無機物に魂を宿すのです。
今回オススメした漫画は一部過激な描写のものもあります。
また漫画は小説と違って、ぱっと見でわかりやすいので、秘匿性に劣ります。
家族になにこれ?
と言われないように、管理はくれぐれも気をつけて、自己責任でお願いします。
もはや漫画は【文化】である事を疑う人はいないでしょうが、一部の漫画はもう、【芸術】の一線を超えていると思います。
もちろん、娯楽としての楽しみが第一ですけどね。