今回のタイトルを見て、どこかで見た様な話をするのかな?
と思われる方もいるかもしれません。
いやいや、TORIOTTO。
あんた前回量産された価値観がどうのみたいな話をしていたじゃないか?
会議云々って…今更、クローン記事じゃん?
って言う突っ込みをいただきそうですね。
まずはタイトル見ただけで閉じずに、本文を読んでいただいた方にお礼を申し上げます。
ありがとうございます。
さて、上記の様に、今やあちこちで【会議不要論】が囁かれています。
他にも【オフィス不要論】や【ハンコ不要論】などもありますね。
論争に付き物ですが、
白か黒か
正しいか間違っているか
デジタルみたいな思考で0か1のみで語られる事が多い様な気がします。
TORIOTTO自身はこう考えます。
【何かを否定する場合はそれが何故必要だったのかを知る事が重要。】です。
会議については、成功者やリーダーといった方々が、記事や動画で【無駄な物】と言っています。
これについては目に、耳にされた方も多いと思います。
そこで、ふと気付きませんか?
【成功者やリーダー】が言っていると言う事に。
経営者的な立場の人が多い様に思います。
後はそのフォロワーの人ですか。
統治者にとって恐ろしい事は【民衆の反乱・革命】です。
経営者にとってやっかいなのは【労働組合】です。
彼等がそれを潰す為にわざとそう言う意見を言っている!などと言いたいのではありません。
彼等は【集まる事】が必要では無いタイプの人間なので、ただ自分の意見としてそう言っているだけでしょう。
無駄じゃない会議なら良しと言う人もいます。
ですが、大多数のサラリーマン、一般大衆の人達にとって、本当に不必要でしょうか?
結論を言えば、会議の内容に関わらず、自己防衛の為にも必要だと思います。
【会議】と言うシステムがある事が重要なのです。
【会食】にしても同じでしょう。
何を食べたとか内容よりも、同じ場を踏む事、【会食】をした事実が重要なのです。
かつて、ローマを意味する言葉で【SPQR】と言う表記がされていました。
セナートゥス・ポプルスクェ・ローマーヌスの略で、ローマの元老院と市民と言う意味です。
この元老院を表すセナートゥス(セナトス)は現在でもアメリカやイギリス等多くの国々の【上院】を指す言葉として使われています。
日本で言う【参議院】もこれにあたります。
執政官である、コンスル、インペラトールやプリンケプスはポプルスクェ=市民の代表を意味します。
ローマでは、現代の民主主義国家の様にあくまで主権は市民にありました。
国民主権であろうが、独裁政治であろうが、主権者に対抗できる存在を持たない国家はとても脆弱です。
政治を行う代表、主権を持った者達に対する、議会の存在は非常に重要で、古代ローマでは軍や皇帝と元老院は度々衝突していました。
元老院を廃したり、蔑ろにした場合、その治世で尽く衰退していった事実は中々に面白かったりします。
もちろん【話し合い】には足を引っ張られたり、施策が遅れたりするデメリットはあります。
スピードが遅くなる事で貴重な時間を失う事もあるでしょう。
しかし、【SPQR】が機能していたからこそ、ローマは発展していったという事は歴史が証明しています。
それ故に、アメリカやイギリス他多くの国々が、古代ローマを研究をしたのです。
近現代の多民族覇権国家は、ローマの法律や制度を学び、多くを取り入れました。
アレクサンダーやアッティラの様な、飛び抜けたカリスマは大帝国を作りましたが、カリスマの死後、国はすぐに滅んでしまいました。
ある意味スキピオやカエサルを潰せる元老院があったからこそ、ローマは長期間存続出来たと言えるでしょう。
会社に置き換えてみましょう。
飛び抜けた能力を持ったカリスマ社長が率いる会社はどんどん発展していきます。
しかし、そのワンマン社長が居なくなった後はどうなりますか?
私は、世間で【集まる事】を軽視する風潮が出てきた辺りから、日本の会社は潰れやすくなった様な気がします。
様々な要因に弱くなったと思います。
会社側のメリットばかりではありません。
経営者の権限はとても強いです。
もちろん株主も。
それに比べて社員はどうでしょう?
権利は強いですよ。
しかし、権限は弱いのです。
経営者や株主にプラスして、個々バラバラになりそうな社員が集まる【議会】と言う物が存在する。
この事は思っているよりも多くの意味があると思いませんか?
極論を言えば、議題が無く集まるだけでも意味があると私は思います。
労組がある会社はまだいいでしょう。
上場している企業も投資家と言うジャッジが入ります。
しかし、中小の、労組もない様な会社の社員が、
【会議なんて無駄だし、要らねえよな〜。】
なんて言っているのをみかけると、正気か?と思います。
オフィス不要論とも被りますが、集まるメリットとして、ザイオンス効果と言うものがあるそうです。
人間は会う回数に比例して好意を持ちます。
どれだけ世の中が進歩しても、ヒトの本能はそうそう変わりません。
情報収集能力だけで観ても、五感全てを使う方が効率的で、理解も早まります。
合理主義を標榜する人ほど、何故かあまりこの事に触れません。
そして、コミュニケーションを軽視する人程、コミュニケーションをとろうとしません。
何を当たり前な事を?
と思われるかもですが、ここに思考の落とし穴があります。
触れる回数が減れば減るほど、物事の理解は遠のきます。
この当たり前の事にさえ、気がつかなくなるのです。
解らないから、誰かが言った言葉を借りて、解ったような気になっているのです。
先程のワンマン社長の話に戻りますが、対策として社員の教育を充実し、優秀な後継者を育てる。等が考えられますが、
これだけでは不十分ですよね?
優秀な人ほど潰れるリスクの高い会社からはさっさと逃げ出します。
結局、【愛着】や【愛情】が必要になってくるのです。
なんだよ。感情論かよ。
と思われるかもしれません。
しかし、どのような組織であっても、感情を持った人間で構成されている以上、感情というものは馬鹿にできません。
かつて【SPQR】を掲げていたローマでは、市民はローマの一員としての誇りと、都市に対する愛着がとても強かったそうです。
ローマの最大の天敵のハンニバルが攻めてきた時、ローマは何度も敗北し、滅亡寸前まで追い詰められても、彼らは逃亡する事を是とはしなかったのです。
ラテン同盟も同じでした。
イタリア国家の一員としての誇りと愛情を持っていて、かつて敵として戦った国でさえ、決してローマを裏切らなかったそうです。
最終的に、なんとかローマは勝利し、ハンニバルを撃退する事に成功しました。
会社においても、最終的に、継続させる力となり、命運を決めるのは、【感情】なのだと思います。
愛情や誇り等の感情を集められる組織は、中の人が入れ替わったとしても持続継続する【概念】の強力な依代となります。
強固な持続性は、時間と言う強力な武器を得られます。
一見不合理に思える【会議】と言う集まりですが、自分の身を守ると共に、
組織にとっても、デジタル思考の合理性や、経済性による白黒だけでは決して得られない、大きなアドバンテージを手に入れる切っ掛けになり得ると、TORIOTTOは考えます。