Life for happy! TORIOTTO blog

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橘の小島の色は変はらじを この浮舟ぞ行方知られぬ【大人男子の宇治散策】

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今週のお題「外のことがわからない」

 

昨日はHAMさんと、京都は【宇治】に行ってきました。

京滋バイパスが出来てからは、随分と行きやすくなりましたね。

渋滞が無ければ、我が家から車で40分くらいで行けます。

 

朝早めに出て【三室戸寺】に行きました。f:id:TORIOTTO:20200608104534j:image

紫陽花も、

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躑躅も、
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庭園もとても美しく、
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ピンク
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有名な蓮の花はまだ咲いていませんでしたが、匂い立つ花々の、煌く色と心地よい自然の薫りに、非日常のひと時を満喫する事ができました。

 

自然に触れる事によってストレスホルモン(コルチゾール)が減少すると言われています。

もちろん科学的にも証明されています。

まさに実感しました!

緑と花に癒されまくりです。
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お寺を出たところで売っているグリーンティーも、よく冷えていて美味しかったです。
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緑は大切ですね。

 

三室戸寺の近く、早蕨の道沿いに【源氏物語ミュージアム】という施設があります。

宇治は源氏物語の終盤、【宇治十帖】の舞台なのです。

 

宇治十帖は光源氏がいなくなった後の世代の話です。

 

メインの登場人物は5人です。

 

【匂宮】(におうのみや)光源氏の孫 光源氏と似て華やかで恋多きタイプです。

【薫】(かおる)光源氏の子ですが、奥方の一人が浮気をして出来た子です。そのせいか、暗い性格に育ち常々出家したいと思っています。

この二人は幼なじみです。

 

光源氏の異母兄弟にあたる八の宮の美しい娘の姉妹。

【大君】(おおいきみ)姉妹の姉。出家した八の宮と似た、厳格な性格で、父の遺言通り宇治から出ずに同じ様に出家しようと思っています。

【中君】(なかのきみ)姉妹の妹。姉よりは明るい性格で洗練された都に憧れもあります。

【浮舟】(うきふね)大君と中君の異母姉妹。大君にそっくりの美人です。

 

ざっくりと粗筋を書きます。

出家願望のある【薫】が、八の宮の元に仏の道を習いに行くところから物語は始まります。

 

八の宮は娘の従兄弟にあたる(血は繋がらないが)薫に姉妹の世話を託し出家してしまいます。

その後、姉妹には決して宇治を出ない様に(都に行かない様に)と遺して亡くなります。

 

薫は娘の【大君】を好きになります。

ですが、大君は出家願望が強く、男性に対して慎重な性格なので、私より妹の【中君】と結婚して欲しいと言います。

薫はならば妹の結婚相手を先に決めようとして【匂宮】を中君に会わせます。

 

中君と匂宮は意気投合し、結ばれますが、奔放な性格の上に、身分の高い匂宮は頻繁に宇治に足を運ぶ事はありません。

 

妹は弄ばれたんだ!と憤慨する大君は、妹の行く末

を心配するあまり心労で病に倒れてしまいます。

そして、一目都を見たかった…と告白し、亡くなります。

 

姉の希望を汲んだのか、中君は匂宮と正式に結婚し、妻として都に迎えられます。

 

都にも慣れた中君の姿に、薫は亡き大君を重ね見ます。

その様子に匂宮は二人の仲を疑います。

 

八の宮のもう一人の娘、【浮舟】は、父親の死後いろいろあって、結局中君が妹の面倒を見る事になります。

同じ都の家に住まわせたのですが、美しい浮舟をみた匂宮は、光源氏譲りの悪癖が出て浮舟に手を出そうとします。(乳母に助けられます(笑))

 

浮舟はこのまま匂宮の家には居られないので、三条の小さな家に住む事にするのですが、そこに案内されたのが薫です。

 

薫は大君に瓜二つの浮舟を想い、宇治の山荘に匿います。

しかし、薫はもうすでに結婚していたので、頻繁に通えません。

それを知った匂宮が、山荘に現れて情熱的に浮舟を口説きます。

そして、遂にその情愛と色香に絆されて、二人は結ばれます。

 

【橘の小島の色は変はらじを この浮舟ぞ行方知られぬ】

 

その後匂宮にぞっこんになった浮舟は、ラブラブの時間を過ごしていたところ、薫と鉢合わせしてしまいます。

二人の男性に少女漫画ばりに口説かれて、姉の中君を裏切った葛藤もあり、悩みに悩んだ浮舟は、宇治川に入水してしまいます。

 

浮舟が消えてしまった事に、匂宮・薫・中君は悲しみ、絶望します。

 

浮舟は実は生きていて、河原に倒れていたところを、行きずりの僧侶に助けられて寺に保護されます。

そして俗世の悩みに疲れた浮舟は僧に頼んで出家します。

 

後々、寺を訪れた薫は、浮舟を見つけて文を出しますが、浮舟は頑なに写経に打ち込み、俗世と切れる事で心の平安を手に入れます。

 

こんなお話です。

 

この5人の登場人物、

果たして不幸だったのでしょうか?

幸せだったのでしょうか?

 

匂い立つ情熱と、心のままに愛を手に入れてなお、愛を求め、心地よい薫を持てずに、失ってしまった匂宮。

 

心地よい薫は持てど、匂い立つ様な情愛を持てずに、仏の教えを求めていたが、やがて愛を知り、失い、寺で再び再会を果たしたが、愛する人は仏門に閉ざされて、ただ存在を薫らせるだけになってしまった薫。

 

華やかな都人の芳香を知り、まっすぐな愛も知ったが、都に憧れを抱きつつも宇治から出る事は出来ずに、家族との絆を守り、それ以外を失った大君。

 

自分と姉の望みである、華の香の漂う都人となり、稀代の貴人の妻となったが、最後の肉親の妹を失い、殿上人の妻として宇治にも帰れない中君。

 

愛されるままに流され、橘の色が変わらぬ様に、薫と匂いは決して変わらない事を知りながら、翻弄され、行方も見失い、俗世から出る事でようやく安息を得た浮舟。

 

彼等彼女達は、外の世界を知らなければ幸せだったのでしょうか?

それとも、知ったから、幸せを知ったからこその後々の悲しみに繋がったのでしょうか?

 

世界を手に入れるには、外の世界、内の世界が、

世界を知るには、失うもの、得るものが、必ずあると思います。

この物語の若者達は、知らなければ、何もしなければ幸せだったとは思いません。

しかし、外に出ずに、ある物で足りる生き方をしたとしても決して不幸では無かったでしょう。

 

ポイントは5人は皆、何らかの形で愛されていた事です。

それは忘れられない芳香となりました。

外に出た者、出なかった者、道を外れた者、道を求めた者、俗世を出た者、それぞれの生き方が捉えようによっては悲劇で、捉えようによっては、とても幸福なのだと、私は思います。

 

外も、内も、世界は何も変わらないのに、【芳香】を知ってしまった後の心の行方は、本人を含め誰にもわからないものなのかもしれません。

 

 

 

 

今週のお題「外のことがわからない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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